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東京競売ウォッチ

2026年09月15日

第807回 定期借地権付戸建ての競売現わる

 1992年借地借家法改正で登場した定期借地権を利用した一戸建ては東京においてはそれほど多く供給されてない。土地への定期借地権設定を望む地主が少ないこともあろう。従って競売市場への登場も極めて少なかったと思う。しかし、8月26日開札では京浜東北線「大森」駅徒歩13分に立地する定期借地権付戸建てが対象になった。

 敷地は27坪で建物は築約29年の木造2階建てで延床面積約30坪である。この土地の所有者はお寺で、1997年に定期借地権が設定され建物が建った。この時建物所有者は保証金として1430万円を地主である寺へ納めている。この定期借地権は土地の乙区に賃借権登記がなされ、同時に保証金返還請求権を担保するために抵当権が建物所有者を権利者として登記されている。

 本件が競売となるまでに2回の売買があり、そのたびに賃借権の移転登記と抵当権の譲渡の登記がなされてきた。さらに今般の競売債務者はフラット35と思われる融資を利用していたため賃借権登記に住宅金融支援機構の質権が設定されている。問題は今回の競売での競落者は建物の移転登記以外の土地賃借権登記の移転登記、賃借権への質権抹消登記そして保証金返還請求を担保する抵当権の譲渡移転登記を競売手続きの他に行わなければならない。

 それにあたっては地主のみならず債務者との交渉は必須であり、かなり手続きが煩雑になる。売却基準価額は1065万円ではあったが、入札者があるのか注目していた。ところが入札は3本あり、最高価2026万円にて競落された。東京では珍しい定借戸建ての競落事例である。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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