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東京競売ウォッチ

2024年02月06日

第684回 好立地築古マンション再入札

 年初の能登大地震発生で、建物の耐震性の必要性が再認識されることになった。競売市場への影響も少しはあるように思う。1月17日開札では、小田急小田原線「代々木八幡」駅徒歩約6分に所在する築48年のマンションが対象になった。このマンションは総戸数が11戸と小ぶりで、対象の部屋は1階に所在する。専有面積は約19坪で間取りは2LDKである。この物件の売却基準価額は2743万円であったが、これに対し入札は4本あり、最高価3351万円にて競落されていった。

 実はこのマンションは昨年9月13日に最初の入札があり、売却基準価額も同額であった。このときも入札本数は4本で最高価3660万円にて落札されていった。しかし、代金不納付が原因と思われるが、再度入札になった。代金不納付であった理由は不明である。ただ現況調査報告書によれば室内には上階からの水漏れが発生していて洗面所が使用不能であるなどの不具合あり、それが一因かもしれない。もっとも上階からの水漏れであればマンション管理組合にて対処されるものと考えられるが、このマンションの所有者が約400万円の管理費等滞納をしていることでこれまで修理がなされなかった可能性はある。

 またこのマンションは検査済証が確認できないとのことで、銀行評価が出にくいという問題点がある。ただこういた問題点は現況調査報告書に記載されており、売却許可取り消し決定には該当しないだろう。となれば入札保証金(約550万円)を昨年の競落者は放棄している可能性が高い。ひょっとすると競落代金に銀行等の融資利用を当て込んでいたところ、それが叶わなかったということかもしれない。築古マンションの購入リスクには気を付けたい。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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