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東京競売ウォッチ

2014年10月7日

第249回 希少性が高まる広めのマンション

 新築分譲マンションの契約率、今年8月において7割を切ったとの報道が新聞等でなされた。これはやはり消費税の反動に加え、建築費高騰を背景とした分譲価格の上昇もその要因ではないだろうか。マンションデベロッパーも分譲価格を抑えるために1戸あたりの部屋面積を圧縮し、グロス価格を低くしているようである。

 そんな中、築浅で比較的広めの間取りの中古マンションは希少性が高まることが考えられる。

 9月11日開札での1番人気の物件は、東京メトロ有楽町線「平和台」駅徒歩約4分に立地する専有面積27坪超の広めの間取りのマンションである。築11年と、築浅と言える範囲のこのマンションの売却基準価額は2,538万円であった。これに対し入札は39本集まり、最高価4,355万円にて落札されていった。

 さて、今年に入ってから、この「平和台」駅徒歩圏の築10年内外のマンションで、かつ専有面積が26坪超のものの売買成約坪単価は180万円程度である。それを考えると、このマンションの再販価格は4,900万円程度となる。先の競落価格では、取得および販売経費や改装コストを勘案すると再販利益はかなり薄くならざるを得ない。おそらく入札業者は再販価格を今年最初の水準を上回って見込んだ上で、入札価格を考えているように思う。

 また今年の首都圏新築マンションは供給戸数についても昨年比で減少する予測でもある。

 これは消費者にとって選択の幅が小さくなることを意味する。入札業者は中古マンションの注目度が上がると考え、入札価格を強気に設定しているのである。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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