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東京競売ウォッチ

2019年10月29日

第484回 池上の私道面戸建に入札2本止まり!!

 最近ワイドショーで長崎市での私道利用を巡るトラブルがよく話題となっているが、私道の利用や保守管理については、東京でも問題になることが多々ある。特に私道面の住宅が建て替えする折に水道管や下水管整備のための掘削同意については業界ではよく話題に上る。

 私道の所有者(共有者)に連絡が付かなかったり遠方に転居されたりしているため同意書の記名押印を取得できない場合があるからである。不動産業者としては、この掘削同意が揃った状況でないと仕入れられないということはよくあることである。

 さて10月10日開札では東急池上線「池上」駅徒歩約12分に立地する私道(建築基準法第42条1項5号、位置指定道路)に面する約10.5坪の狭小住宅が対象であった。私道は分筆され8人の分有状態である。建物は古家であり、建替え前提での商品化であろう。この物件の売却基準価額は983万円であったが、これに対し入札は2本に止まったものの競落価格は結果として1323万円と売却基準価額の34%超の上乗せであった。

 もう一本の入札は次順位資格がないほど低く離れた入札価格であったので、突出した競落価格となった。これは私道の掘削同意や、境界確定がない状況の競売物件において、それら、つまり同意書や承諾書の取付がどのくらいの時間とコストが掛かるかの見積の差であると言えるだろう。好立地であっても競売市場の私道面戸建物件については入札価格の設定は難しい側面がある。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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