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東京競売ウォッチ

2016年5月10日

第321回 高輪のタワーマンション

 タワーマンション、とりわけ高層階住戸購入による相続税節税について、税務当局は行き過ぎた節税だとして相続税評価の見直しを検討している。そんな中、価格が高騰した中古のタワーマンションの相場は今どんな状況であろうか。4月12日開札では、都営浅草線「高輪台」徒歩約7分に立地する「高輪ザ・レジデンス」の34階の部屋が開札対象になった。

 この物件の広さは約23.7坪で、間取りは2LDKである。売却基準価額は6,084万円であったが、これに対し入札は21本あり、最高価1億499万円にて再販業者が落札していった。落札価格の専有面積坪単価は約440万円である。これは取引事例を追ってみると5年前くらいのエンドユーザー価格と思われる。

 競落会社は、競落価格に滞納管理費等(約120万円)や税金、そして内装費用を付加したうえで、販売利益を乗せて売却する。おそらく再販価格は1億3,000万円強、専有面積坪単価にして550万円前後にて設定されると思われる。

 今年1月21日に芝浦のタワーマンションが専有面積坪あたり342万円での競落であったことを考えると、まだまだタワーマンションの競落水準は高いように思う。ちなみに先の高輪のマンションを賃貸に出した場合を考えると、おそらくは月額40万円程度ではないだろうか。とすると、想定した再販価格ベースでは年利回りは表面で3.7%弱、実質3%強と推量される。この程度の利回りが今のタワーマンション高層階の水準なのかもしれない。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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