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東京競売ウォッチ

2011年3月22日

第83回上板橋のワンルーム

 この4月に東京証券取引所では、首都圏の中古マンションの価格指数を試験配信するという。どのような形で配信されるのか、興味が持たれる。配信される指数が有用なものであるとすれば、今後競売におけるマンションへの売却基準価額の設定や、入札価格の決定に影響を与えるかもしれない。

 ところで、配信されるマンションの指数はおそらく専有面積25坪程度のファミリーマンションが主流であろうと考えられる。

 一方競売市場は、一般市場に比して投資用のワンルームマンションのシェアが高いのが特徴である。また、競売のワンルームは再販業者がほとんど落札するファミリーマンションと違って個人落札が多い。

 したがって、中古ワンルームの指数を、もし作るとすれば、競売市場の落札データを活用すればよいように思う。

 3月10日開札でも、35件のマンションのうち、30㎡(壁芯面積)以下のワンルームマンションは10物件で、そのうち4物件が個人名落札であった。

 その中で一番多い16本の入札を集めたのが、東武東上線「上板橋」徒歩約9分に立地する、築4年の専有面積約6.7坪の物件である。

 売却基準価額405万円に対し、落札されたのが805万円強であった。年間実質収入は約58万円程度なので、年実質利回り約7%程度の水準である。

 また、個人名入札4人のうち3人が外国人らしき名前であったのも時代を表しているように思う。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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