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東京競売ウォッチ

2017年1月31日

第355回 どうなる2017年の競売市場

 2017年の競売市場はどうなっていくだろうか。まずは、対象物件数についてであるが、これは昨年とほぼ同数に落ち着くのではないかと思っている。東京地裁本庁だけではあるが、競売差押からほどなくなされる配当要求終期の公告数の月間平均数が昨年は113件で、一昨年に比し10件弱、少ないが、年後半にやや数字を高めた。ここから類推すると2017年は年間900件程度と読める。もちろん今年前半で大きな経済変動があれば話は変わる。

 また今年は昨年に比して強気の競売入札が弱まる可能性がある。掲載のグラフは落札1物件あたり入札が何本であったかを表しているが、ご覧のとおり連続4半期で低下傾向にある。この流れが今年も続くのではないだろうか。それは、一般市場における新築マンションの契約率の低下などが生じていることや、今後金利上昇の可能性があることから感じる。

 一方、今年は国税局の公売の件数が増加に転じる可能性がある。というのも2015年に約8年間低下し続けていた国税の滞納件数が上昇に転じているのである。これを受けて公売物件が多く生じると予想される。

 ちなみに、国税局の公売についてはその売却方法は「期日入札」であったが、このところ「期間入札」を実施しており、今年からは期間入札が主たる方法になっていくようだ。物件数の増加を見越しての対応なのかもしれない。

 競売・公売物件について今年は昨年より取得チャンスが若干増えそうである。

《ワイズ不動産投資顧問

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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