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東京競売ウォッチ

2018年11月20日

第439回 スルガショックがワンルーム競落水準を押し下げる?

 スルガ銀行が巨大損失を計上し、旧経営陣への責任追及が始まるとの報道があった。さらに不動産投資ローンに力を入れていた西武信用金庫にも金融庁のメスが入るとのこと。こういった一連の問題から金融機関の個人への不動産投資融資が急速に萎んでいる。

 個人の不動産投資の代表銘柄と言えばワンルームマンションである。不動産投資ローンの収縮はワンルーム相場に影響を及ぼしているようだ。11月8日開札でもワンルームマンションが数個競落された。その中で西武新宿線「鷺ノ宮」駅徒歩11分に立地する専有面積約9坪の1Kマンションの競落結果に目を引かれた。

 このマンション築15年で、現在は所有者が占有しているが、賃貸であれば月額8万円弱の賃料が見込めるだろう。この物件の売却基準価額は978万円であったが、これに対し入札は6本で最高価1177万円弱にて競落された。売却基準価額に対する上乗せ率は約20%と、従前より小さくなった印象がある。

 この物件が1階部分であることや、所有者居住で賃貸運用することに内装コストなどが掛かることも競落価格低下の要因かもしれない。しかし競落したのは不動産会社であったが、再販価格が不動産投資ローン引き締めで伸びないことが競落価格低下を招いているように思われる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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