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東京競売ウォッチ

2017年7月4日

第375回 池尻大橋の1棟物に今年最高の入札本数

 低金利継続の情勢の中、収益不動産人気は衰えていないようだ。特に東京中心部の1棟物は公的評価額を大きく上回る価格でいまだ取引されると聞く。

 東京地裁でも6月8日開札では東京田園都市線「池尻大橋」駅徒歩約4分の店舗兼共同住宅の一棟物件に今年最高の63本の入札が集まった。その物件は東急田園都市線「池尻大橋」駅徒歩約4分に立地する。土地は北側で幅員約5.6mの公道に面する約40.5坪、建物は店舗兼共同住宅3階建てで延床面積約70坪ある。1階は2つの店舗があり、2階、3階は住居で、1Kが4戸、2DKが1戸から成る。住居部分は、所有者が使用している部分もあるものの、多くは空室となっている。

 この物件の売却基準価額は6212万円であったが、競落価格は、その2.75倍を超える1億7100万円であった。建物は新耐震基準での建築ではあるものの、築33年が経過していて、決して新しいとは言えず、評価書の評価は1600万円弱である。従って競落価格における土地相当分は1坪380万円を超えることになる。これは相続税正面路線価の約2.5倍に相当する。競落者は個人であったが、やはり再販業者では出せない数字であったのだろう。

 ちなみに利回りとしては表面利回り年6%程度ではないかと思われる。ただし、賃貸にあたってはかなり改装費用が必要であろうから、実際はそれより相当低い利回りになりそうだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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