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東京競売ウォッチ

2010年9月6日

第56回底堅い個人の投資意欲

 株式市場の低迷や円高の状況において、個人の資産運用方法は大変難しい時期を迎えている。一方で老後の備えについても、年金制度が揺らいでいることもあって、不安を抱えている。

 そんな中、このところ中古ワンルームの取引が活発化している。

 8月24日開札では、この日の一番人気がワンルームマンションであった。その物件は千代田線「根津」駅徒歩6分に立地する専有面積約7坪の物件であった。

 築26年と新しい物件ではないが、今年に入って大規模修繕工事を行っていることや、マンション全体の規模が84戸と、比較的大きいところが物件としてのプラス面と言えるだろう。

 この物件の売却基準価額は447万円であったが、これに対し入札41本が集まり、最高価900万円にて個人が落札していった。

 ちなみに、この物件は現在空室であるが、賃貸するとすれば月額8万円ほどではないだろうか。とすれば、管理費や固定資産税等を控除すれば、実質年収は約75万円である。

 競落価格900万円に滞納管理費等(約20万円)を考慮すれば、実質年8%程度の利回りと思われる。

 この日、京成電鉄線「お花茶屋」駅徒歩10分に立地するワンルームマンション2件(同棟内、建物は築23年)がともに入札10本以上で競落されたが、これらはいずれも個人の競落であった。競落価格は2件とも300万円台前半で、実質年利回りは12%強になる。

 個人の投資意欲底堅いようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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