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東京競売ウォッチ

2020年5月12日

第509回 コロナ禍で開札中止相次ぐ!!

 東京地裁本庁では新型コロナウイルス感染防止対策で4月7日政府から緊急事態宣言が発生したことから4月9日開札、そして4月23日開札が行われないこととなった。4月9日開札分についてはすでに入札者は入札保証金を納め入札手続きを行っている。従って入札者には入札保証金の返還がなされる。

 また4月23日開札分は4月9日からの入札自体を取りやめた。これらの開札分は事由としては「変更」ということで全件中止にしている。中止にした以上これらすべてについて改めて売却実施処分がなされ新たな入札スケジュールが設定される予定である。

 コロナ禍はついに競売システムまで止める状況になってきた。さらに東京都主税局の公売についても入開札は当面中止となった。こういった措置が長引けば不良債権や滞納税の回収に遅れが出ると金融システム等に影響が出ざるを得ないだろう。

 一方でコロナ禍による倒産は日増しに増加しているところから不良債権が増加していることは間違いないと思われる。今年2月3月の配当要求終期の公告件数をみるとここ4年では一番多くなっている。この公告は不良債権発生に伴いなされる差押え後速やかに行われるものであり、競売対象物件数の数か月前の予告となっている。

 今年は年後半にコロナ禍が収束を見せたとすれば纏まった競売物件数が現れてくるように思う。入札希望者は開札が中止になった物件でも物件資料(三点セットなど)は保管しておいたほうが良いだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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