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東京競売ウォッチ

2019年11月26日

第488回 墨田区の1R、年6%利回りで個人競落!!

 老後資金不足が話題になる最近であるが、そんな中でワンルームマンション投資は根強く安定的な人気がある。東京地裁でも毎開札日ごとに1Rマンションは登場している。そして1000万円以下の低グロス1Rについては個人競落のケースも多い。

 11月7日開札で京成押上線「京成曳舟」駅徒歩約3分に立地する専有面積約5坪の1Rマンションが売却基準価額461万円で対象になった。このマンションは築30年強経過していて現在所有者が空き家状態で専有している。入札結果は15本の入札で、最高価722万円強で個人が落札していった。次順位入札も個人で入札価格は675万円であった。

 このマンションの滞納管理費は数万円程度と少ないものの洗面台の破損があり、競落後の改修コストは考えねばならないだろう。改修コストや登録免許税、不動産取得税を考慮すると競落者は約760万円程度が総取得コストになりそうだ。一方でこれを賃貸した場合は月額5万円程度が目安になりそうで、管理費・修繕積立金・固定資産税・都市計画税を差し引いた実質収入は年約47万円が見込まれる。これは年利回り6%強に相当する。

 低グロス1Rマンションの競落水準の目安のように思う。またこれは一般市場価格に対しては1割程度割安な水準かと考えられ、競売による減価はファミリーマンションより小さい。権利関係で揉めるリスクは小さく個人が入札参加しやすいことが減価の小さい要因でもあろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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