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東京競売ウォッチ

2024年04月23日

第694回 新宿ゴールデン街に入札100本

 新宿ゴールデン街と言えば、かつての昭和~平成バブル期に、地上げ屋が跋扈したことで有名になったところである。新宿区役所の間近にある2000坪ほどのエリアに200軒ほどの小さな店舗が立ち並ぶ。ここは権利関係が複雑であることでも有名で、虫食い状態で地上げが行われ、その後バブル崩壊で空き家となった店舗が増加し寂れてしまった。しかし近時は外国人の観光スポットになるなど賑わいを取り戻している。そのゴールデン街の中約3坪の土地上に戦後5年目に建てられた木造2階建て(1、2階とも床面積3坪)が建っている。

 この物件が昭和62年に設定された抵当権が今般実行され競売対象になった。所有者・債務者は既に亡くなり、相続人不存在の中整理回収機構が債権者として競売を申し立てた。現状の占有は店舗営業をしている賃借人が1、2階各々にいる。家賃は1階7.5万円/月、2階9万円/月である。

 この物件の売却基準価額は775万円であったが、それに対し空前の100本という大量入札があり、最高価8000万円強で落札された。競落者はおそらく不動産会社であると思われるが、その入札本数もさることながら競落価格が売却基準価額の10倍を超える水準であったことに驚かされた。再開発にらみの競落であろうか、まさにかつてのバブルが戻ってきた感覚を覚えた。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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