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東京競売ウォッチ

2017年6月13日

第372回 旧耐震基準マンション 将来の価値増加を見込み多数の入札

 先日新聞報道で、旧耐震基準の分譲マンションの建替え推進策として、容積率の割り増しを政府が検討していることが伝えられた。なかなか進まぬ古いマンションの建替えに、政府もインセンティブを与える作戦をとる格好である。

 これにより好立地ながら旧耐震基準のマンションに、将来の価値増加が見込まれることにもなろう。そんな中、5月25日開札では、東京メトロ日比谷線「仲御徒町」駅徒歩約8分に立地する旧耐震マンションが高上乗せ率にて競落された。

 そのマンションは、昭和56年1月に建設された物件で、専有面積約15坪の2LDKで、売却基準価額は653万円であった。これに対し、入札24本が入り、最高価2176万円と、売却基準価額の3倍超で、業者が落札していった。

 この物件には、滞納管理費等が遅延損害金を含め200万円近くある。従って競落会社は登録免許税等を考慮し、2400万円、専有面積坪単価にして160万円ほどの取得原価である。ちなみにこのマンションは建築確認・検査済証は取得されていて、容積率も現基準を余裕でクリアしている。将来容積率アップも視野に、立地から考えて、魅力ある物件になると競落者は判断したのかもしれない。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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