リアナビ

スペシャリストの眼

東京競売ウォッチ

2013年2月12日

第168回 氷川台の共同住宅17戸

 1月22日は2013年最初の開札であり、入札の動向が注目された。結果としては、不落札がわずか1件という、ほぼ完売のスタートとなった。

 その中で、1番人気となったのは、東京メトロ有楽町線「氷川台」駅徒歩約3分に立地する共同住宅であった。土地は南東側で幅員約6mの公道に面する約81坪で、建物は鉄筋コンクリート造、延床面積約120坪である。

 築25年と新しいとは言えないが、賃貸運営上は問題なさそうだ。1Kの部屋17戸からなり、年収約1,400万円は見込めそうである。

 そんな条件で、売却基準価額は9,326万円であったが、これに対し、入札38本が集まり、落札価格は売却基準価額の2倍を超える1億9,220万円であった。この落札価格は表面利回りで約7%であり、かなり高水準に思える。

 またこの日、大田区の蒲田の築40年超の木造アパートに18本もの入札があった。想定賃料が、年間400万円弱と見込まれるこの物件の売却基準価額は2,002万円であったが、これに対し、その2倍を超える4,200万円弱での落札であった。仮に更地化や建替えを考える場合でも、複数の部屋の占有者が、最先の賃借権者であり、明渡関係コストがかかることが予想される。

 そんな条件を考えると、やはりこの物件も高額落札であったように思える。今年の競売市場の過熱が予見されるような、競落事例2件であった。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


BackNumber


Copyright (c) 2009 MERCURY Inc.All rights reserved.