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東京競売ウォッチ

2018年8月21日

第426回 久々中古マンションに大量入札&高上乗せ落札!

 このところマンションへの入札価格水準が低下気味であると述べてきたが8月2日開札では今年一番の大量51本の入札があり、売却基準価額の2倍を超える競落価格の物件が登場した。その物件は東急目黒線「不動前」駅徒歩約4分に立地する約17坪の2LDKのマンションであった。

 この物件、築6年強と新しいこともあり、近郊の新築分譲物件の価格上昇を受けて強気の入札になったようだ。また管理費滞納額も少なく、室内の保全状態も悪くないことも人気を呼んだ要因であろう。この物件の売却基準価額は2926万円であったが、先の記した入札本数が入り、最高価6060万円強にて落札されていった。

 ちなみにこのところマンションの売却基準価額決定のための評価書において市場価格修正という名前で1~2割取引事例を勘案して上乗せする例が多いが、この物件はそれが無かった。それもあって高水準の上乗せ率になったのだろう。また評価書において収益還元価格が採用されていたが、その数字は約3100万円(競売減価は考慮されていない)だった。

 ファミリータイプの価格水準は低利住宅ローンがあるためか、収益還元価格を大幅に上回って取引される市場の傾向を反映する結果と思われる。なおこの評価書で採用されていた還元利回りは年5.4%であった。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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