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東京競売ウォッチ

2021年3月9日

第543回 築30年超ワンルーム高水準競落!

 中古マンション相場が上昇している状況にあるが投資収益目的であるワンルームマンション相場まで波及しているのだろうか。2月17日開札では東武東上線「成増」駅徒歩11分に位置するワンルームマンションの競落水準に目を引かれた。そのマンションは平成2年11月竣工で築30年以上経過している。専有面積は6坪弱であり、月額賃料5万円で賃貸中である。エレベーターが設置されていないこともあり、管理費・修繕積立金は月額10600円と比較的低額であり、年間固定資産税等も3万円弱であるところから年間44万円の実収入である。

 この物件の売却基準価額は442万円であったが、これに対し13本の入札があり、最高価632万円弱で個人が落札していった。このマンションには滞納管理費等が約35万円あり、登録免許税、不動産取得税を考慮し、競落者は680万円ほどで取得したことになる。従って競落者は年約6.5%の利回り水準を得ることになる。ところでこの同じマンションの別の部屋でほぼ同じ専有面積の部屋が550万円にて約5年前に成約している。これを考えると価格上昇を感じる。

 しかし賃料については駅からの距離や築年、そしてエレベーターが無い上、対象住戸が3階であることを考えると現在の賃料を維持できるかは微妙に思える。となれば利回り水準が低下することも考えられ、競落水準の高さを改めて感じる。コロナ禍対策での補助金、金融緩和による金余りを反映しての競落結果と言えないだろうか。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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