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東京競売ウォッチ

2016年12月6日

第349回 祖師谷大蔵の区分店舗に大量入札

 マイナス金利下で収益不動産人気は依然高い状況であるが、11月8日開札では極小の区分店舗に大量の入札があったことに目を引かれた。その物件は小田急小田原線「祖師谷大蔵」駅前に立地するマンションの1階路面店舗である。

 専有面積は約1.1坪で、トイレやその他水回りの施設などは一切ない。現状は合鍵作成などを行う店になっており、月額9万円強の賃料等で賃貸されている。管理費・修繕積立金と固定資産税等を控除すると、実質年収は97万円強ある。この収益があるため、売却基準価額は積算価格より高い471万円で、専有面積1坪あたりでは約430万円であった。このマンションは築16年だが、同棟内の住居と比較すると2倍以上高い坪単価だろう。しかし、競落の結果は最高価2,130万円弱で、その売却基準価額の約4.5倍もの価格で競落された。

 またこの日、同棟内の1階路面店舗(専有面積約20坪)も同一債務者のため、一緒に競売対象になっていたが、そちらは売却基準価額4,182万円のところ入札32本で、1億3,100万円強で競落された。

 この2つの区分店舗の競落価格を合計すると約1億5,150万円になる。実はこの2区分店舗は一括して任意の販売活動がなされていた。そして、その販売予定価格は合計で1億3,000万円であった。何と競落価格の方が2,000万円以上高い結果になったのである。競売の方が相当高く売れたという事実に驚かされる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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