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東京競売ウォッチ

2018年9月4日

第428回 江戸川区内の件外建物付土地が高落札!!

 土地が競売に付されたとき、競売の対象でない建物がその土地上に存するときがある。これは通常「件外建物」呼ばれる。問題はその建物に敷地利用権があるかないかである。

 8月2日開札で江戸川区内の、JR総武線「新小岩」駅徒歩約15分に所在する土地が開札対象になっていた。この土地は西側で幅員約16m、南側で約4mの公道に面する角地で面積は約52坪である。さてこの土地には築60年近い古家が建っている。そしてこの古屋には敷地利用権が無い。この場合当該土地を競落した者は、その件外土地を収去することが可能ではある。

 しかし示談で済まず法的手続きとなった場合に、建物の占有排除と相違して民事執行法上の引渡命令は使えない。まずは建物所有者を相手にして建物収去・土地明渡訴訟を提起しなければならない。その勝訴判決を得た上強制執行で取り壊すことになる。弁護士費用等や期間を要するので、できれば交渉で建物を買い取って更地にしたいところである。

 このように占有者排除よりそのコスト、時間を要することから裁判所でもこの建物に「場所的利益」と称する金額を評価書上計算し控除している。本件の場合更地価格約5100万円のところ、その20%の1000万円強をその場所的利益としている。この場所的利益を考慮して売却基準価額を3096万円としたが、これに対し入札14本が入り最高価6308万円で業者が落札していった。この落札水準は路線価の約1.5倍に相当し、高く思ったが、なおそれに加え件外建物排除のコストもあるところから、かなり強気の落札により感じた。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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