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東京競売ウォッチ

2020年3月24日

第503回 世田谷の大型住宅個人落札!!

 高級住宅地における大型住宅は概ね注文住宅で建設される。このため中古住宅として売却する場合は建築主の個性が間取りなどに反映している分、販売しにくい面がある。

 増してや再販業者においては、再販価格が読みにくく仕入れにくい。建売業者は更地化して、大きな敷地であれば分割して汎用性の高い間取りの建物を建設して販売したいところだ。

 しかし、2月27日に開札対象となった世田谷区大型一戸建ては建物が比較的新しく、取り壊して再建築で考えにくい案件だった。

 その物件は小田急線「世田谷代田」駅徒歩約8分に立地する土地付建物で敷地は南東側、南西側にそれぞれ幅員6m弱に面する角地で面積は約78坪ある。そしてその上の建物は築約8年で木造2階建、床面積約78坪の6SLDKである。

 写真では広くてきれいな仕上げのリビング・ダイニングルームが確認でき、評価書において約3600万円の評価がなされている。この物件の売却基準価額は1億5363万円であったが、これに対し入札が11本あり、最高価1億9333万円にて個人が落札していった。

 ちなみにこの物件敷地の相続税正面路線価は1坪約175万円であるので相続税評価額は1億3650万円である。従って土地だけで考えると路線価の1.41倍相当の落札価格である。これは建売業者としては建物取り壊しした上での分割再販の採算では出ない入札価格なのだろう。

 結果として最高価も次順位(1億9200万円)も個人の入札であった。建物が既に所有者退去で空室であったことも個人入札を後押ししたもの。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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