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東京競売ウォッチ

2011年8月23日

第103回耐震性に対する意識変化

 東日本大震災以後、一般消費者の購入マンション選別について、耐震性に対する意識が大きく変わった。いわゆる旧耐震基準のマンションの人気が低くなっている。

 しかし、旧耐震物件といっても、いわゆるブランドマンションの多くは物理的震災の影響が生じていないものがほとんどであり、将来生じる可能性がある震災にも十分耐える物件も多いと思われる。ただし、それが耐震診断が進んでいないこともあって客観的に証明されないところに問題がある。

 8月4日開札で、1980年竣工の旧耐震基準のブランドマンションが開札になった。

 その物件は山手線「品川」駅徒歩5分の高輪に立地する「東高ペアシティルネッサンス」である。専有面積約36坪の3LDKの部屋で、売却基準価額は6,723万円であった。

 この物件の現況調査報告書は東日本大震災以降の4月に作成されたものであるが、特段震災の被害などの記載はなかった。

 結果は入札8本が集まり、最高価8,740万円にて落札されていった。

 ここで目を引いたのは、落札したのが個人であったことである。次順位は業者であったが、その入札金額は7,410万円と、落札価格とかなり差があった。

 業者の再販目的での入札価格は、再販時に旧耐震物件であることが価格にどの程度影響するか、読みきれないところから、個人入札の金額に届かないようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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