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東京競売ウォッチ

2017年3月14日

第361回 千葉の調整区域内の土地280坪

 東京地裁は対象物件の減少で、開札自体の中止も出現した。3月23日の東京地裁本庁の開札がなくなり、その日に対象だった物件は、次の4月13日の開札に集約される。

 昨年では千葉地裁の管轄対象物件も激減し、その減少率は対前年比24%超と、東京の2倍以上の減り方であった。そんな千葉地裁本庁であるが、今年に入って、目を引かれた対象物件があった。それは、2月14日開札の土地である。

 その土地は市街化調整区域にあり、千葉都市モノレール2号線「動物公園」駅から南方に約1.1kmのところに位置する延約280坪である。幅員2.5mの狭い公道に面し、準幹線道路から入り込んだ感じの一部崖の変形地である。樹木や雑草が生い茂るこの土地の売却基準価額は392万円であった。市街化調整区域のため建物は建設できず、接道も良くない。しかし、この土地の一部(約50坪)がKDDIに鉄塔とそれに付随する通信設備の敷地になっている。そして、KDDIは賃借料を地権者に年50万円支払うことになっているので、収益物件としてこの土地は考えられる。実質収入は固定資産税年9万円強を差し引いた年約41万円なので、売却基準価額で競落できれば年利回り10%を超えることになる。さて、入札結果は15本の入札があり、最高価888万円で個人が落札していった。この競落価格では年利回りで約4.5%程度となろう。

 市街化調整区域であろうとも、安定収益が得られる物件には投資家の食指は動くようである。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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