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東京競売ウォッチ

2019年1月29日

第447回 2018年の東京地裁総括②

 2018年東京地裁は対象物件が反転増加したことを前週述べたが、では、その競落水準はどうであったか。

 図表1は物件種別毎の上乗せ率の4年推移である。全体平均の上乗せ率は2017年比で13ポイント以上低下している。マンションに関しては50%を大きく割り込んでいる。マンションの上乗せ率の低下は売却基準価額の水準を評価時に底上げしたことも影響しているが、土地付建物が低下しているので、やはり競落水準がやや低下傾向にあると言えよう。スルガ銀行不正融資問題に端を発した個人の不動産投資に対する融資引き締めが、収益不動産の相場を引き下げた事がその背景にありそうだ。

 それをまた裏付けるのが図表2に示す落札1物件あたりの入札本数の2017年対比である。これを見ると2018年は前年比2ポイント弱低下し、11.68本であり、この水準は2012年下期以来、つまりアベノミクスによる超金融緩和政策以前の水準に近い。2018年下期の株価下落も影響し2019年はさらにこの数字が低下することも考えられよう。2019年は幾分競落し易い環境になるだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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