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東京競売ウォッチ

2021年12月21日

第582回 初台の住宅地競落価格エンド水準!!

 マンション価格の高騰はマスコミで多く報道されている。そういった中で土地や戸建の競落水準はどうなのだろう。12月2日開札では渋谷区初台の一戸建が対象になった。京王新線「初台」駅徒歩約7分に所在し、土地の接道は幅員3.7mの公道で2項道路となっている。広さは約45坪土地上の建物は軽量鉄骨造の2階建で延床面積は約41坪である。

 この物件の売却基準価額は1億701万円であったが、これに対し19本の入札があり、最高価15200万円弱で再販業者が落札していった。築年は平成9年3月とまだ使用できる状態と思われる。ただしこの建物は建築確認を取得しているものの検査済証の交付は受けていないようである。

 さてこの物件の正面路線価は1坪約231万円で相続税評価額は土地が1億500万円弱になる。評価書では正常価格土地を1億2800万円強、建物を約560万円合計で約13400万円としている。これに競売減価(20%)を勘案して先の売却基準価額を算出している。従って競落価格は評価書の正常価格の約2割増しでの競落である。これはレインズの成約データから見るとエンドユーザーの相場に近い気がする。

 ただこの地域での売り物件は少なく、希少性があるとこから再販利益が見込める可能性もありそうだ。ところでこの物件は不良債権処理ではなく相続人の共有物分割請求訴訟に基づく換価競売であった。競売物件が少なくなっている昨今、この換価競売が競売市場での存在感が高まっている。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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