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東京競売ウォッチ

2023年03月28日

第643回 抵当権付で共有物分割請求換価競売

 現在競売市場で共有物分割請求換価競売の頻度が高くなってきていることは本欄でよく取り上げている。3月14日開札でも一番人気となったビルはJR中央線「飯田橋」駅徒歩約6分に立地する。敷地は幅員4m公道に面する32坪強で、建物は築55年を経過した木・鉄筋コンクリート造の3階建の店舗・共同住宅で延床面積70坪弱である。そしてこの物件がやはり共有物分割請求換価競売であった。ちなみにこの物件は、昭和51年に相続により3人の共有となっている。その後平成元年に共有者の一部が当該物件に抵当権を設定し、融資を受けている。今回の競売は、共有者のうち融資を受けていない共有者からの申立てであった。この申立てた共有者は、他の共有者が融資を受ける際には抵当権設定に同意しているはずである。しかし物件相続をしてから45年以上経過し、共有者全員が高齢となってきて設定された抵当権の抹消などについて兄弟で話し合いがあったと推察される。仮に次世代への相続が発生すれば、抵当権負担付の相続となるが、これについては債務の無い共有者は受け入れなかったのだろう。兄弟間の協議は結局不調で換価競売による決着となったようだ。

  入札結果は売却基準価額9440万円に対し、入札29本が集まり、最高価2億4660万円強で不動産会社と思しき会社に競落されていった。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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