リアナビ

スペシャリストの眼

東京競売ウォッチ

2012年3月13日

第127回 西新井の底地に入札5本

 競売不動産には一般市場には見られない特殊物件がよく見られる。その中には借地権が設定されている土地、いわゆる「底地」が含まれるが、競売にはあまり見られない。それは、銀行などの金融機関が底地を融資の担保としないことが一般的であることによる。

 しかし、2月21日開札では、その底地が開札対象になった。

 その物件は日暮里・舎人ライナー「西新井大師西」駅徒歩約16分に立地する。南側で幅員12mの公道に面する整形地で、面積は約72坪ある。

 この底地の上には築23年弱の鉄骨造3階建ての建物が建っている。そして、この建物の所有者である、借地人は地代月額5万円にて土地を賃借しているとしている。

 ところで、この底地が競売になった原因を登記簿で確認してみると、抵当権実行ではなく、相続に絡む換価のための形式競売であった。やはり、金融機関の債権回収ではなかったようだ。

 さて、競落結果であるが、底地という特殊不動産にもかかわらず、売却基準価額792万円に対し、5本の入札があり、最高価1,513万円という高上乗せ率で落札されていった。

 この理由は、借地人が破産しており、破産管財人管理になっていることにある。つまりは、借地権付建物はいずれ処分をしなければならないことから、競落した底地の再販も、これと併せ行えるチャンスがある。また、安価に借地権付建物を底地所有者の立場を生かしてできる可能性もある。

 底地といっても換金出口がある底地が故の人気だったようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


BackNumber


Copyright (c) 2009 MERCURY Inc.All rights reserved.