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東京競売ウォッチ

2013年7月30日

第191回 収益性高いシェアハウス

 最近、何かとシェアハウスのことが報道に取り上げられる。まず千代田区内のビルの一部に対する「脱法ハウス」嫌疑が報じられたことに続き、7月11日の毎日新聞朝刊の1面で江戸川区の分譲マンションの1室についても同様な「脱法ハウス」嫌疑報道があった。

 いずれも1坪に満たない小部屋に数多く仕切り、賃貸収入を多額に上げるビジネス形態である。建築基準法や消防法、さらに区分所有物件であれば、管理規約等への抵触が疑われるところから、「脱法ハウス」嫌疑報道となっている。

 しかし、こういった報道の背景には、旺盛な低廉賃料の居住スペースに対するニーズがあるとも言える。

 7月11日開札で、大量51本の入札を集めた物件が、まさにシェアハウスであった。その物件はJR中央線「高円寺」駅徒歩約2分に立地し、土地が約27坪(東側で幅員6m、南側で幅員8mの各公道に面する)、建物が築19年の鉄骨造4階建て、店舗付居宅で延約78坪であった。1階がバー、2~4階が約7室に転貸されるシェアハウスである。

 この物件の売却基準価額は5,278万円であったが、これに対し、競落されたのは、その2倍を超える1億1,000万円であった。

 好立地でかつ需要旺盛なシェアハウスの高い収益性の魅力が大量入札を呼んだのだろう。ただし、この物件は前記の報道物件とは相異し、図面上、転貸対象スペースが法的に居室要件を満たしている可能性が高い。このことも応札が多かった要因の1つかもしれない。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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