リアナビ

スペシャリストの眼

東京競売ウォッチ

2026年02月10日

第779回 係争中借地物件に応札ゼロ

 1月21日開札では、近時においては珍しく競落率が83%強と低かった。入札が無かった物件が3物件あったのであるが、そのうち1件は借地権付建物であった。京成本線「お花茶屋」駅徒歩13分に立地し、借地が約29坪、建物は築約18年の木造2階建で延床面積約34坪である。売却基準価額は1128万円で、この金額を見ると応札があっても良いように思う。しかし、借地人は2年以上地代を滞納しており、且つ更新料の支払いも請求があるものの支払っていない。

 そこで地主は土地賃貸借契約の解除通知を借地人に送付している状況である。これを受けて裁判所の評価書では「係争減価」40%行い売却基準価額を設定している。現在法定更新中の状態であるこの物件については、再販業者などは借地権の円滑な取得(地主との土地賃貸借契約締結)を危惧したので応札が無かったように思う。

 ただ疑問なのはこの競売申立権者である債権者が地代の代払いを地主に応じてもらえないので、未払い状態ということである。地代の代払いは地主の承諾は不要であり、供託も可能である。これがなされていれば借地権の消滅が回避でき、物件価値の保全ができることで応札もあったのではないかと思うのである。

 また裁判所への「代払い許可」を得ての地代代払いは効果の確実性があるので、それについてもなぜ為さなかったのか知りたいところではある。また加えて接面道路が区有通路扱いで、再建築ができないリスクがあることも応札無しの理由でもあるように思う。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


BackNumber


Copyright (c) 2009 MERCURY Inc.All rights reserved.