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東京競売ウォッチ

2017年12月5日

第395回 借地権付建物を地主が高額落札

 借地権付建物は競売市場ではよく見られる。これは任意売却を行おうとしても、地主との関係がこじれ実施できない場合が多いことにもよる。11月21日開札では東武大師線「大師前」駅徒歩約3分に立地する借地権付建物が対象になった。この借地は、土地賃貸借契約は平成24年に期限を迎えていたが、地主は借地人の更新料不払いを理由に更新を拒んだ。結果として現在法定更新状態となっている。

 その借地は南西側で幅員5m前後の公道に面する約74坪で、建物は木・鉄骨造4階建ての店舗兼住居(延床面積約170坪)である。売却基準価額は2758万円であった。この借地権付建物は現況調査報告書によれば、第三者に譲渡を計画していたようであるが、借地人の主張によれば、借地権譲渡を地主が許可してくれないとのこと。さらには平成24年の更新を拒否されたと述べている。一方地主からすれば、過去2回の更新時期において更新料を支払わないため更新に応じないということである。借地人、地主の主張が相違しており、これでは任意売却は容易ではなかったであろう。結果的に今回の競売となり、入札は4本であったが、地主が売却基準価額の約1.9倍の5163万円で落札していった。地主の意地が見える落札結果であった。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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