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東京競売ウォッチ

2009年11月24日

第18回 押上のマンションに記録的入札

 先週の本欄でも記したが、最近マンションの対象物件数は減少傾向にある。そんな中で入札参加の勢いは衰えないことから、超大量とも思える入札を集める物件が登場する。

 11月11日開札では、83本という記録的入札本数を集めた物件が登場した。その物件は半蔵門線「押上」駅徒歩7分に立地する専有面積約23坪の3LDKのマンションであった。築9年と比較的新しく、現況空室ということがあっての大量入札とは思うが、近隣に建設中の新東京タワー(東京スカイツリー)の影響もあるように思う。

 落札価格は3700万円と、売却基準価額1,850万円のぴったり2倍であった。この他にも入札50本を超えるマンションもあり、過熱ぶりが明らかであったが、一方で良い立地であるのにも拘わらず、意外にも応札が少なかった物件があった。

 それは最高級住宅地である渋谷区松涛一丁目の土地(更地)である。北東側で幅員6.8mに面する整形地で広さ約144.5坪、売却基準価額は4億2,491万円であった。

 この土地の正面路線価は1坪約380万円であるので、相続税評価額は5億5,000万円弱である。この土地の売却基準価額は相続税評価を下回っていたが、これに対し入札はわずか2本で、しかも落札価格は売却基準価額を下回り、むしろ買受可能価額に近い3億6,000万円(1坪約250万円)であった。

 昨年までのミニバブルで価格が急上昇し、その後、急落したエリアなので理解はできるが、マンションの活況と比し、あまりに違うことに驚かされる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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