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東京競売ウォッチ

2010年6月7日

第44回歌舞伎町の大型物件

 現在、東京地裁の競売物件はその過半がマンションで、それゆえ競落価格の平均も1物件あたり、おおよそ5,000万円程度である。今回のミニバブル崩壊では、これまでのところ、90年代のバブル崩壊のときのように、大型ビルなどの競売が目立っていなかった。しかし、5月25日開札では大型物件が2物件対象となり、それぞれ落札され、目を引いた。

 1つは都営大江戸線「東新宿」駅徒歩3分の新宿歌舞伎町エリアに建つビルである。このビルは1階にコンビ二エンスストアが入った1棟マンションである。敷地は360坪強あり、建物は築4年弱の鉄筋コンクリート造18階建てで、延床面積3,000坪、1K、1DKの部屋が170戸以上ある大型物件である。この物件の売却基準価額は24億1,469万円であったが、これに対し、入札は1本で落札価格は21億5,558万円であった。この物件の期待できる実質年収は2億5,000万円程度であるので、年実質利回りは11%強を望める。

 またこの日、地下鉄銀座線「外苑前」駅徒歩1分で青山通り面の商業ビル(住宅も含む)も競落されていった。このビルは敷地が約170坪、建物は築約23年で延床面積は750坪強であった。この物件の売却基準価額は17億1,836万円であったが、これに対し、入札が2本入り、23億1,333万円にて落札されていった。

 さすがに10億円を超える物件には、多くの応札はない。今後このような大型物件が対象になってくるのか、興味が持たれる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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