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東京競売ウォッチ

2018年5月15日

第413回 マンション競落ビジネスの鍵は内装コストか?

 物価上昇率2%を目指す日本政府であるが、なかなか目標に達していない。その原因は種々あろうが、大きい要因は中国などの新興工業国が多くの家電など製品を次々コストダウンし、市場に供給していることがある。一方で技術労働者が行う、例えば水道工事のコストなどは下がらずにむしろ上昇している。費用が上がっている部門もあるものの、製品コストのダウンに押されて物価は上がっていない。中古マンションの内装コストも材料費はともかく人件費が占める割合が多く、下がりにくいコストであろう。

 そんな中4月24日に一番人気となったのは都営浅草線「東日本橋」駅徒約3分に立地する築15年の専有面積約13.5坪の2DKのマンションであった。売却基準価額1944万円に対し入札38本が入り、最高価3401万円にて落札されていった。過去の競落事例を見ると3700万円程度の再販価格になる可能性もある。先の競落価格であると再販利益を得られにくい感じがする。しかし、競落会社はマンションを多く競落している(株)イーグランドであるので、おそらくは内装コストを大量発注により抑えることができるのだろう。競売マンションも競落競争が激化する昨今ではこの内装のコストをいかにセーブできるかがマージン確保の鍵なのだろうか。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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