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東京競売ウォッチ

2014年2月4日

第216回 2013年の競売市場分析(下)

 今週も昨年の総括を引き続き記したい。競売市場の市況を測る指標の一つに落札価格の売却基準価額に対する上乗せ率がある。表はそれを2012年と2013年で比較したものである。


 これを見ると、全体として約28ポイントも高くなっており、全種別について大きく上昇しているのがわかる。競落にあたっては、思い切った入札価格の設定を要する状況にある。


 続いてグラフは、競売市場の市況を測るもう一つの指標である落札1物件あたりの入札本数の推移を表わしたものである。これによれば、2013年は1物件あたり約13本であり、リーマンショック前の東京を中心としたミニバブルと言われた時期(2007年あたり)より数字は高くなっている。現状はバブル経済の感さえある。

 さて、今年こういった過熱とも言える状況がこのまま続くかどうかである。

 まずは、対象物件数であるが、それは最近の企業倒産数の減少などをみても、来年増加する可能性は低いだろう。引き続き少数激戦が予想されるが、一方で過去にない過熱状況である現在の状況だけに、転機が訪れる可能性もあろう。金利の上昇、建築コストのさらなる上昇、消費税増税による再販環境の悪化などが、その引き金になるかもしれない。今後も注意深く市場を見守っていきたい。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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