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東京競売ウォッチ

2012年2月21日

第124回 練馬の特殊物件に大量入札

 1月31日開札で、特殊な物件が大量入札を集めたのに目を引かれた。

 その物件は東武東上線「東武練馬」駅徒歩約9分に立地する店舗であった。この店舗は築39年の鉄骨造平家建てで、床面積は11坪強ある。

 この物件の特殊なところは、マンションの敷地の一部に建っている点にある。所有者はマンションの敷地の共有持分は有しており、マンションの管理組合に管理費を支払っている。

 つまり、マンションの区分所有者と同様に敷地の利用権はあるものと思われる。ただ、本物件の評価書では、競売対象ではない、マンションの敷地の一部であるという事情から大幅な減額がなされており、売却基準価額は62万円と、低く設定されていた。

 この物件、現在月額8.5万円で賃貸中であり、所有者負担の管理組合へ支払いの管理費相当分を別途賃借人に負担させていることから、固定資産税等を考慮しても、実収入は年100万円程度ある。もし、売却基準価額で取得できれば、年利回り160%超という、とんでもない高利回りになる。

 しかし、こういう物件を見ている人はさすがに多くいるもので、入札は1番人気の46本集まった。

 結局、大幅上乗せの506万円にて落札されたが、それでも利回りは20%近い。特殊物件であっても、当分賃料が見込めるものは、収益還元で入札者は応札することになる。この場合のキャップレートは20%が一つの目安のようだ。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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