リアナビ

スペシャリストの眼

東京競売ウォッチ

2014年4月1日

第224回 敷地利用権がない建物

 不動産市場が活況であることを反映して、3月13日開札は、売れ残りゼロの100%競落であった。

 そんな中で、入札1本という物件も中にはある。千代田線「綾瀬」駅徒歩12分に立地する一戸建てが売却基準価額108万円に対し、入札1本、最高価161万円にて競落されていった。

 この物件、競売の対象が建物だけで、敷地利用権がない。競売に付されたのち、借地権が解除されてしまったようだ。契約解除は裁判で確定しているので、買受人は新たな借地権設定を必要とする。

 この物件、昨年10月に1度入札になった際、入札本数3本を集め、401万円にて個人に落札された。しかし、おそらくは地主との借地権設定の交渉がまとまらず、前落札者は代金納付をせず、今回再入札になったようだ。

 落札したのが、宅建業者と思われるので、今回は事前に地主との協議した上で入札されたのではないだろうか。やはり敷地利用権のない建物に一般人は手を出せない。

 さて話は変わるが、先に競落者が売却不許可になった朝鮮総連本部が、再入札せず、2番目の入札者であり、かつ落札者以外の唯一の入札者であった香川県の会社に再度開札を行う形で、競落されるようだ。3月24日に売却決定予定である。当該競落会社は、占有者である朝鮮総連に明渡しを求める方針とのことで、今後の展開が注目される。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


BackNumber

コラム一覧

山田純男 東京競売ウォッチ

2024年05月14日



Copyright (c) 2009 MERCURY Inc.All rights reserved.