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東京競売ウォッチ

2021年5月18日

第552回 管理組合の59条差押え競売!!

 マンションにおける滞納管理費問題は管理組合にも大きな問題である。特に築年が古いマンションにおいては、マンション全体の維持管理に大きな影響をもたらす。管理組合としては滞納者に対し任意の支払いが進まなければ、強制的回収を選択せざるを得ない。滞納管理費は管理組合の先取特権に基づき競売を申し立てられる。しかし、その物件に物件評価を超える先順位の抵当権等があると、競売を申し立てても回収不能として無剰余取消がなされてしまう。そんな場合区分所有法第59条に基づき裁判を経由して競売に付すことができる。

 4月21日開札では東京メトロ東西線「茅場町」駅徒歩約3分に立地する築47年のマンションが開札対象となったが、これがその形での競売と思われる。専有面積約4.8坪のワンルームであるこの部屋の売却基準価額は7万円である。低額な売却基準価額であるが、競落者は約700万円の滞納管理費等や遅延損害金などの支払い債務を負うことになる。競落結果は入札12本が集まり、最高価465万円にて個人が競落していった。

 こういった競売は市場価値が落ち込んだリゾートマンションなどにみられるが、今後都内のマンションにも多く登場してくるものと考えられる。ちなみに先のマンションはもし入札者が無ければ管理組合が競落することでの競売であったが、物件の市場価値があり、高い価格での競落者が現れた。管理組合は安堵したであろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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