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東京競売ウォッチ

2022年12月13日

第629回 大手分譲マンションはプレミア付落札か

 東京23区内の新規マンション分譲戸数は用地確保が難しいことや建設費高騰もあり、需要に対し供給が追い付かない状況にある。それにより分譲価格も上昇している。そのため中古マンション、特に築浅の物件が価格上昇している。

 11月22日開札での一番人気はJR総武線「平井」駅徒歩約9分に所在するファミリーマンションである。専有面積21坪強の3LDKの部屋で、築6年と築浅物件である。この物件の売却基準価額は3675万円で、評価書を見ると周辺の取引事例を勘案した価格補正として20%高くした結果の価額であった。この売却基準価額に対し入札は38本入り、最高価6040万円弱で競落されていった。おそらく再販目的での競落であろう。この競落価格は専有面積坪単価で約290万円であるが、レインズにおける成約データを見ると、このマンションの同じ専有面積の部屋が今年1月に5420万円、専有面積坪単価260万円弱で成約している。その成約事例は9階の部屋であるのに対し、先の競落対象の部屋は14階である。その分が割高になるとは言え、1割は成約事例より高い競落価格であろう。

 好調な中古マンション市況もあるが、このマンションが大手、住友不動産の分譲物件であることも強気の競落の要因だろう。再販価格は少なくとも6500万円程度、専有面積坪単価は優に300万円は超えると思われる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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