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東京競売ウォッチ

2009年12月21日

第22回 マンション入札は報道以上に過熱

 12月8日開札でもマンションへの大量入札は続いており、競落される価格の売却基準価額に対する上乗せ率も、高水準になってきている。

 この日1番人気であったマンションは都営三田線「千石」駅徒歩8分に立地する、築10年強の専有面積約23坪の3LDKの部屋であった。入札本数は53本に及んだが、それよりも目を引いたのは競落価格である。売却基準価額1,502万円の3倍を超える4,663万円であった。落札者は再販業者のようだが、再販利益をかなり抑えての果敢な入札と言えよう。

 最近テレビ等のマスコミで住宅ローン破綻が増加し、競売マンションが増えていることがよく報道されている。これについては、間違っているとは思わないが、その売却価格に関する報道には違和感を覚えることが多い。それは競売が市場より4割も5割も安くしか売れないという内容の報道コメントである。

 これはおそらくは競売物件の公告に掲載されている売却基準価額を見ての感想ではないかと思われる。あるいは不景気な世相を強調したいから、意識的にそういう報道をしているのかもしれない。実際のところは先に紹介した千石のマンションのような競落状況なのである。

 この日、入札がなく特別売却に回ったマンションはわずか1物件しかなかった。しかも、それは住宅ではなく、特殊な造りの事務所であった。住居系マンションは完売したのである。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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