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東京競売ウォッチ

2022年7月12日

第609回 鉄骨造マンションが特売に

 マンション相場の上昇が巷間言われて久しいところである。そんな中で6月22日に東京メトロ千代田線「北千住」駅徒歩16分のマンションに応札が無かった。築33年で専有面積約15.6坪の3DKの部屋で、売却基準価額947万円(買受可能価額757.6万円)であったが、特別売却物件となった。駅からやや遠い感があるが、北千住はこのところ人気の地域になっていて入札が無かったのが意外に見える。

 しかしこの物件に大きな問題がある。それはその構造にある。鉄筋コンクリート造ではなく、鉄骨造なのである。この物件の評価書を見ると建物評価額を算出するにあたって鉄筋コンクリート造が47年に対して40年で計算している。確かに鉄骨であることで評価は低くなっているものの、現実の市場においてはそれを超えるかなりの減価があるだろう。しかもこの物件所有者が管理組合の理事長であった際管理組合の管理費等515万円超を使い込みしたらしく、管理組合が競落者に区分所有法第7条第1項(先取特権)に基づき滞納管理費等と併せて請求する旨表明している。

 しかし、評価書ではこの請求権は認めず売却基準価額設定の際に控除していない。確かに法的に競落者が負担すべき金員かどうか微妙なところではあるが、負担が無く済むとは言い切れないだろう。それらがあって応札が無かったが、結局特別売却に回って即入札があり、売却済みとなった。難あり且つ不確定要素があっても買い手がつくのが今の市況ということなのだとも思う。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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