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東京競売ウォッチ

2016年2月2日

第308回 2016年の競売市場を占う

 今週は2016年の競売市場を占ってみたい。まずは対象物件であるが、これはさらに引き続き減少傾向が続くと見られる。グラフ1は東京地裁の2015年の配当要求終期の公告数の月次推移を表している。配当要求終期の公告は競売開始後、ほどなくしてなされるものであるので、目先半年程度の競売物件の対象数が予測できる。

 また配当要求後すべての物件が対象となるわけではなく、開札対象となるのは、おおよそその6~7割である。とすれば、2016年の開札対象物件数は1カ月に60~70物件、年間にして700~800物件のペースである。2016年もしばらくは少数対象物件に対する過熱とも言える落札競争状態になりそうだ。

 ただ、企業の倒産件数に目を向けてみると、帝国データバンクの調べで、2015年11月の倒産件数は、前年同月比で増加したとのことである。不良債権が増加する予兆かもしれない。

 また、グラフ2は競売申立て件数と国税・都税の滞納発生件数の推移を表したものである。これを見ると、2014年あたりで税滞納件数が底打ちした感じもある。倒産増加と同様に税滞納が増加すれば、不良債権・競売は増加するだろう。2016年は潮目の年になるかもしれない。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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