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東京競売ウォッチ

2022年7月5日

第608回 高額東麻布ビルに大量入札

 6月22日開札をもって2022年の東京地裁本庁の上半期の開札が終了した。上半期の競落結果の総括は別途報告させて頂くが、この半年間東京地裁では大型物件は少なく、売却基準価額5億円を超える物件は3件であった。

 3月23日開札で銀座3丁目のビルが売却基準価額17億円弱に対し8本の入札で60億5000万円の競落。続いて4月27日開札で神宮前6丁目のビルが売却基準価額12億円強に対し入札17本で25.5億円強という競落事例があった。

 そして6月22日開札では東麻布3丁目で都営大江戸線「麻布十番」駅徒歩約2分のビルが売却基準価額5億1000万円強に対し入札が22本入り、13億8000万円弱で競落された。超高額物件としてこの半期最高の入札本数が集まった。

 この物件は南側で六本木ヒルズに続く大通りに面する、土地約67坪とその上の築28年で地上9階建て延床面積約300坪のビルである。ビルはスタジオなど特殊な利用になっていることで、収益を予測するのが難しそうである。また一部最先の賃借権もあり、更地化を図るにも時間とコストが大きく掛かりそうである。

 しかし、前記のような入札本数が集まり、売却基準価額の約2.7倍の競落価格であった。現状の賃貸状況で推し量るに年間賃料は6000万円程度であろうから、年間収益利回りは4%強の競落水準ではある。しかし、先にも述べたとおり収益見通しは難しい間取り等である。それでもこれだけの応札があるのは都心一等地ならではであろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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