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東京競売ウォッチ

2026年03月03日

第782回 借地権付古家の整理に競売

 空き家問題は常に最近の話題である。特に所有者不明や相続人が多数となってしまい、責任者が特定できないような場合において長期間空き家となることが多い。2月4日開札では東京メトロ日比谷線「三ノ輪」駅徒歩5分に立地する借地権付建物が競売になった。

 この建物は大正時代に建てられたものと推定されるブルーシートで覆われた古家で長い年月の間で相続が繰り返され共有者は10名の状態となっている。ただし一連の相続登記はおそらく地主主導で昨年行われた。その借地権対象土地は7坪で地代は11680円と事件記録に記載されている。本競売は共有者の8名から共有物分割請求に基づき行われている。

 また地主は現在、この物件の近隣において開発を計画していると思しき不動産会社である。地主としては「底地は売りません」「建替えは許可しません。」「借地料は値上げします。」と借地権の競落者が敬遠しそうな陳述をしている。それにもかかわらず入札は3本あり、本物件の売却基準価額は490万円に対し最高価1050万円にて競落された。競落者が地主の関係者かは不明であるが、もしそうでないとすると地主との間で今後かなり難しい交渉(借地権買取など)が行われそうだ。

 ところでこういった古家の空き家については借地物件であれば、本例のように地主が相続登記を借地人の一人にでも行わせ、共有物分割請求訴訟によって競売に付し新たな所有者に移転して空き家状態を解消する方法もあるように思う。競売制度を使っての権利整理ということになる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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