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東京競売ウォッチ

2024年03月19日

第689回 築古1R表面利回り7%未満で競落

 このところ開札対象物件数の減少が進んでいる。2月28日は開札に至った物件数は僅か16物件であった。これは年間開札対象物件400件を下回るペースで約30年に及ぶ本トピックス執筆期間中でおそらく最低の対象物件数である。

 そんな中で競売申立ての理由も不良債権に基づくものではなく、相続により共有関係になり、その後共有物分割請求訴訟を経由してのものが目につくようになっている。

 2月28日開札で対象になった東京メトロ東西線「門前仲町」徒歩約4分に立地する1Rマンションもこの共有物分割請求訴訟由来の競売である。

 専有面積は約7.5坪で月額8.3万円の最先の賃借人付きで売却基準価額が1000万円であった。これに対し入札は14本あり、最高価1490万円にて競落されていった。この競落水準は売却基準価額の49%上乗せで、表面利回りで年7%以下である。これはこの物件が築51年であることを考えると高いように思える。ただし耐震診断済みで且つ現在の耐震基準を満たしているということで高水準の競落になったのだろう。さらにこの物件もそうであるが、共有物分割請求訴訟由来のマンション競売は大抵管理費等の滞納が無く、入札者の競落後の処理についての安心感が大きかったと考えられる。

 加えて「門前仲町」駅周辺が近時人気エリアだということもあるだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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