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2017年4月4日

第363回 京成立石のマンション専有20坪

 首都圏では中古マンション全般では今年1月を見ても前年同月比での成約専有面積坪単価は5%強上昇しており、依然好調と言える。しかし、一方で価格上昇に一服感があるとも言われ始めている。

 2月23日の開札では、京成押上線「京成立石」駅徒歩約11分に立地する築17・5年の3LDKのマンションが開札対象になった。このマンションについては同じ棟内の1階の部屋が今年1月に成約になっている。3LDKで専有面積約22坪だったが、売り出し価格2680万円に対し、成約価格は、その約7%引きの2500万円であった。1階という不利な条件もあってか、割引率がやや高く、成約専有面積坪単価は約114万円程度である。

 さて、開札対象の部屋であるが、こちらは専有面積約20坪で、売却基準価額は1449万円であった。これに対し、入札は29本あり、最高価2216万円弱にて再販業者が競落していった。滞納管理費等はほぼなく、競落専有面積坪単価は111万円弱であった。1月に成約した部屋と比べると、ほぼ同じ単価である。かなり強気の入札かと思うが、競落会社は再販に際して階高の優位性(4階)、さらにはこの部屋に付いているルーフバルコニーのメリットも前面に出せば、販売単価を成約事例よりも上乗せできると考えたのだろう。

 競売市場のマンションの場合、従前の成約事例などがあると、再販時に販売価格を抑えられしまうことがある。一般市場での成約事例の住戸がある場合、それと入札対象住戸の条件比較を十分検討した上で入札価格決定を行わねば、この競落競争激化の時期において競落は難しいだろう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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