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2022年2月8日

第588回 麻布台再開発地近隣の事務所一番人気!!

 東京都心の進行中再開発プロジェクトでは森ビルが行う「虎ノ門・麻布台プロジェクト」が最大規模である。30年の年月をかけ、いよいよ来年2023年に完成予定である。東京ミッドタウン六本木とほぼ同程度の開発敷地にはオフィス、ホテル、商業施設が揃い賑わいを見せるだろう。

 この再開発地の通り(外苑東通り)を挟んだ相向き合いに建つ「飯倉ヒルズ」の区分所有事務所が1月26日開札で一番人気となった。築42年を経過した分譲マンション(現況事務所)で専有面積は約9坪である。現在は空き家状態で所有者が占有している。

 この物件の売却基準価額は1164万円で、これに対し入札が53本集まり、最高価3340万円にて競落されていった。再開発地の近隣物件が賃貸や売買の相場に与える影響はなかなか測りきれないところではあるが、話題性から期待値は上がっているように思う。売却基準価額に対する上乗せ率は約187%でかなり高い水準で、これもこの開札日一番の値であった。

 あとはこの物件を商品化するにあたり事務所仕様のままとするか、住居に変更するかが思案のしどころではないだろうか。(登記上は「居宅」)競落価格は専有面積坪単価では約370万円であったが、居宅仕様であればさらに高い水準の競落であったように思う。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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