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東京競売ウォッチ

2011年10月18日

第111回 一戸建ての実需住宅

 10月は3回の開札があるが、1回あたりの対象物件数は少なくなっている。まだ中小企業金融円滑化法の影響などによる物件減少は続いている。そんな少ない物件の中で、やはり人気は実需向けの住宅である。

 10月6日開札における1番人気は京成金町線「柴又」駅徒歩約6分に立地する一戸建てであった。土地は西側で幅員4m弱の2項道路に面しており、約26坪の広さがある。建物は築22年を経過した木造2階建てで、延床面積約27.5坪の4LDKである。

 この物件の売却基準価額1,546万円であったが、これに対し入札23本が入り、最高価2,463.5万円にて落札されていった。

 ところで、27坪強の床面積の建物の評価を1坪15万円として、400万円程度と考えるならば、土地は1坪約78万円で競落されたことになる。ちなみに、この物件の路線価は1坪約70万円であるので、土地は路線価の約10%増しで競落されたことになる。

 いずれにしろ実需住宅は下町であっても、高水準での競落になる。

 この日、同じ葛飾区である京成本線「堀切菖蒲園」駅徒歩約8分に存する築24年の専有面積約5.6坪のワンルームマンションが売却基準価額335万円に対し、入札3本で、売却基準価額を下回る303万円にて個人が落札した。投資用マンションに関しては、実需に比して相当低い競落水準になっている。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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