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東京競売ウォッチ

2009年10月26日

第14回 過熱するマンション入札

 マンションへの入札過熱化はさらに高まってきた。10月14日開札では、おそらく過去最高と言える75本という大量入札があった物件が登場した。

 そのマンションは東西線「高田馬場」駅徒歩9分に立地する築15年で専有面積約15坪の2LDKの部屋である。この物件の売却基準価額は915万円であったが、これに対し、落札額は2,491万円と、その約2.7倍に達した。

 さらにこの日、この高田馬場のマンションには及ばないものの、63本の入札が集まったマンションもあった。それは丸の内線「方南町」駅徒歩5分に立地する専有面積約16坪の3DKのマンションであった。築25年を経過した物件であったが、前述のとおりの大量入札があり、結果、売却基準価額952万円に対し、大幅上乗せの2,180万円にて落札された。

 この2つのマンションに共通して言えることは、売却基準価額が市場価格に比してかなり安いということと、買受金額のグロスが比較的小さいファミリーマンションであることである。2つのマンションとも落札者はおそらく再販目的と思われるが、低グロスの方が、やはり再販しやすく、資金リスクも小さい。

 いずれにしろ再販できそうなマンションで、二ケタの入札がない物件を見つけるのが難しい状況である。この日、築浅で低グロスのファミリーマンションで一ケタ入札だったのは、長期賃借権負担付きの錦糸町の物件ぐらいであった。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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