リアナビ

スペシャリストの眼

東京競売ウォッチ

2010年12月20日

第71回売れ行き好調な競売市場

 12月7日は落札率100%となり、相変わらず売れ行き好調な競売市場である。ただ、このところ落札1物件あたりの入札本数については、少しではあるが、減少傾向にある。この日は落札1物件あたり10.26本であったが、このところ10本程度であることが続いている。

 一時、12本を超えていた時期を考えると、やや沈静化してきているように感じる。

 この日の一番人気であった物件は、入札本数29本で足立区綾瀬の物件であった。記録を辿ってみると、一番人気物件が30本未満の入札であった開札日は昨年(2009年)の3月19日以来、約1年9カ月ぶりである。この点からも、入札の勢いの変化が感じ取れる。

 落札価格も必ずしも強気の数字でない場合もあり、こういう時期の入札価格の設定は難しい。

 この日の開札で銀座線「浅草」駅徒歩12分に立地する築3年と、新しい専有面積約12.7坪の1LDKの部屋が落札されていった。売却基準価額は1,088万円で、専有面積坪単価86万円弱と、かなり割安感がある。しかし、入札は6本に止まった。そして、落札価格は1,951万円と、80%近く売却基準価額を上乗せさせた価格であった。

 しかし、次順位資格のある2番手の入札はなかった。したがって入札保証金217万円強の差が2番手入札との間にあったことになる。

 入札は競りではない封書であるだけに、思わぬ高値落札の場合も生じる。マーケットをよく観察していることが重要と言えよう。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


BackNumber

コラム一覧

山田純男 東京競売ウォッチ

2024年05月14日



Copyright (c) 2009 MERCURY Inc.All rights reserved.