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東京競売ウォッチ

2010年1月4日

第23回 競落率上昇し活況呈した09年

 09年の東京地裁は08年に比して対象物件を大幅に増やした上に、春以降は08年に低下した競落率も上昇し、活況を呈した。特にマンションについては、大量入札物件が続出する展開であった。

 09年最後の開札であった12月17日開札でも開札対象であった62物件のマンションに全て入札があり、完売であった。しかも、全てのマンションに2本以上の複数の応札があり、この面からも活況が分かる。

 最初は城西・城南の人気エリア物件から入札が活発化したが、現在は郊外物件も競争が激しくなっている。さらに、マンションの落札水準も大きく上昇した。

 例えば09年11月19日に東武伊勢崎線「梅島」から徒歩18分に立地する築約4年のマンション(専有面積約17坪)の部屋が入札23本を集め1,670万円で落札されたが、前年08年12月4日には、これと同じ専有面積で、占有関係や住戸位置などほぼ同条件の部屋が入札5本に止まっており、落札価格も1,408万円であった。1年で約2割弱の落札水準アップである。

 09年中でも春より秋以降の方が高くなっている。同じく足立区のマンションで5月に落札された同じマンションが11月に再度売却され(代金不納付?)、入札本数が1本から10本へ、落札価格も約8割増という事例もあった。再販業者の利益率は確実に低下している。

 なお、09年の競売市場分析は次回以降、その詳細を本欄で取り上げる予定である。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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