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東京競売ウォッチ

2019年5月14日

第461回 100%競落札も入札本数低減傾向!!

 相変わらず高競落率の東京地裁であるが、この日入札1本という物件が4物件もあったのに目を引かれた。さらに入札5本未満も散見されるなど入札本数の勢いに陰りが見える。

 全体として競落1物件当たりの入札本数が10本未満なのもそれを裏付けている。その中で日暮里舎人ライナー「舎人公園」駅徒歩約10分に立地する一戸建てがやはり入札1本でさらに売却基準価額を下回り買受可能価額に僅か超えたところでの落札になった。

 その物件は敷地が約14坪で私道(42条1項5号)に面している。当該私道の持分も分有の形で有している。建物は築44年の木造2階建であるが古家であり、商品化にあたっては建替えが前提であろう。この物件の売却基準価額は826万円で、1坪単価60万円弱であったが、結果として最高価は671万円と坪単価50万円を下回る水準であった。

 私道面の古家建替えにあたっては、水道、下水、ガスの各管の埋設について他の私道所有者の承諾を要し、競落者には負担が掛かる。とりわけこの物件は都市ガス敷設可能地域であるが、現況プロパンガスであるなど、インフラ整備には相応のコストが掛かりそうだ。売却基準価額を下回る水準での競落にはそういった背景があると考えられる。

山田 純男(やまだ・すみお)

1957年生まれ。1980年慶應大学経済学部卒業。三井不動産販売およびリクルートコスモス(現コスモスイニシア)勤務後、 2000年ワイズ不動産投資顧問設立、及び国土交通省へ不動産投資顧問行登録(一般90号)。主に投資家サークル(ワイズサークル会員)を 中心に競売不動産や底地などの特殊物件を含む収益不動産への投資コンサルティングを行っている。 著書に「競売不動産の上手な入手法」(週刊住宅新聞社、共著)「サラリーマンが地主になって儲ける方法」(東洋経済新報社)がある。 不動産コンサルティング技能登録者、行政書士、土地家屋調査士有資格者。


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